社員が産前産後休業を申し出た時の手続き

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『産前産後休業取得者申出書』の書き方について

 社員から妊娠・産休の申し出があった時に、主要な提出書類として下記の3つがあげられます。

1.『産前産後休業取得者申出書』
2.『育児休業取得者申出書』(+『産前産後休業取得者申出書変更届』)
3.『健康保険 出産手当金 支給申請書』

当ページでは1.の『産前産後休業取得者申出書』の書き方について記載しています。
(2.と3.は別記事にて後日改めて掲載します。)

産休とは

 出産の日以前 42 日(多胎妊娠の場合は 98 日)から出産の日 56 日までの間で、妊娠又は出産に関する事由により労務に従事しないことをいいます。出産が出産の予定日後であるときは、出産予定日から出産の日後 56 日までの間となります。また、出産とは妊娠85 日(4 ヶ月)以上の分娩をいい、早産、死産、流産、人工妊娠中絶を含みます。

保険料の免除期間

 産休期間中(開始日の属する月から終了日の翌日の属する月の前月まで
(育児休業等の期間と産休期間が重複する場合は、産休中の保険料免除が優先となります。)

モデルケース

 下記のような方をモデルケースとした場合の書面の書き方を解説します。

・大阪府内の会社に勤務
・出産(分娩)予定日/令和3年2月14日
 ※ 妊娠証明書は病院より取得済
・出産日/令和3年2月13日(単胎)

産前産後休業取得者申出書の作成・提出にあたり

事前に確認、整理しておきたい情報

事業所整理記号
『健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬月額決定通知書』等に記載されている番号が申出書の左上に必要な情報となります。

被保険者(産前産後休業をする方)の、
 ・年金手帳(年金基礎番号がわかればOK)
  もしくは、
 ・マイナンバー(マイナンバーカードは必要なく、16桁の数字さえわかればOK)
※ 申出書の②に記載する情報となります。

・共通記載欄①の被保険者整理番号は、健康保険証に印字されている番号のことです。全国健康保険協会(協会けんぽ)であれば、カード型の保険証に「記号」と「番号」がありますが、「番号」側(数字のみ)を申出書に記載します。

産前産後休業取得者申出書・書き方見本

ポイントは共通記載欄⑦⑧の産前産後休業開始年月日と終了予定年月日です。
今回のケースは令和3年2月14日出産予定(単胎)で、うるう年ではない年なので、産前開始は1月4日、産後終了日は4月11日になります。

産前産後期間一覧表による産前開始日、産後終了日の確認

 2月(縦軸)、14日(横軸)の交わるところを確認し、産前開始日(1月4日)を書面の⑦に、産後終了日(4月11日)を書面の⑧に記載します。

 産前産後期間一覧表はこちらから参照できます(全国健康保険協会のページに移動します)。

完成した書類の送付先と送付日

 下記リンクを参照に指定の場所へ書面を郵送します。

日本年金機構・全国の事務センター一覧(日本年金機構のサイトへ移動します。)

 送付日(提出日)は出産後でも提出可能ですが、なるべく産前休業に入ったタイミングで提出すると良いでしょう。

日本年金機構からの通知

 申出書によりその被保険者が保険料免除の対象者であることを日本年金機構が確認できたら、「産前産後休業取得者確認通知書」により、事業主宛に通知されます。

まとめ・リンク

『産前産後休業取得者申出書』は、産前開始日、産後終了日が一覧表から確認できれば作成は比較的容易にできます。
 医師からの「妊娠証明書」をもらい、出産予定日を確認し、早めに準備に取り掛かっておきましょう。

産前産後休業を取得し、保険料の免除を受けようとするとき(日本年金機構のサイトへ移動します。)
※ 説明、及び届出書面(PDFファイル、エクセルファイル)と記入例が掲載されています。

社労士(受験生)の方へ ~ 過去問チェック ~

 今回の実務にかかる過去問を見ておきましょう。

平成26年 健康保険法 問6-C

 産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、その産前産後休業を開始した日の属する月からその産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料を徴収しない。

解答

〇(設問のとおり)

平成28年 健康保険法 問4-B

 被保険者である適用事業所の代表取締役は、産前産後休業期間中も育児休業期間中も保険料免除の対象から除外されている。

解答

×(事業主等であっても、被保険者であれば産前産後休業期間中の保険料免除を受けられる。)

平成30年 厚生年金保険法 問8-B

 産前産後休業期間中の保険料の免除の適用を受ける場合、その期間中における報酬の支払いの有無は問われない。

解答

〇(設問のとおり)

令和元年 健康保険法 問8-B

 産前産後休業期間中における保険料の免除については、例えば、5月16日に出産(多胎妊娠を除く。)する予定の被保険者が3月25日から出産のため休業していた場合、当該保険料の免除対象は4月分からであるが、実際の出産日が5月10日であった場合は3月分から免除対象になる。

解答

〇(設問のとおり)
※ 産前産後休業が「開始した日の属する月」から免除対象になります。このページの上にある『産前産後期間一覧表』にて5月10日出産と5月16日出産の場合を見比べてみましょう。

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