コロナ禍の影響もあり、最近は診察をオンライン優先、もしくはオンラインのみに切り替えている病院も存在します。そこで気になるのは、同意書(再同意を含む)の発行をオンライン診察で行った場合、それが有効なのかどうか調べました。
結論
結論からお伝えすると、
「保険者次第なところもあり、無理。とは言い切れないが、保険請求は難しい。」
と言えます。
事実、全国健康保険協会(協会けんぽ)も、オンライン診察による同意書発行は認めていません。
厚生局の考え方は?
厚生労働省のホームページを見ても疑義解釈資料などからオンライン診察に関することは何も書かれていない(2021年5月現在)ので、大阪にある近畿厚生局指導監査課に聞いてみました。
オンライン診察にかかる同意書の有効性はどうなのでしょうか。
我々(厚労省・厚生局)の通知には、厳密にはまだ載ってないです。
そうですね。「診察」としか載ってないですね。
厳密には載ってないです。その同意書自体の発行は、はり、きゅうのことでしょうか。
そうです。「鍼灸・マッサージ」に関してです。
実際に、その患者さんを(オンラインでも)診断できるか、というところの問題になってくると思うんですけど。。。
触診ですね。触って稼動域とかを調べているわけではないので。
そうなんですよ。そこが、いわゆる良いとも悪いとも書いてはない状態なので。
そうですね。厚労省からの疑義解釈資料としてもまだ掲載、発表はされてない。。。
出てないですね。実際そう言ったことも、ご質問としてあることはあります。
そうですね。このコロナ禍の中では。。。
実際にそうですね。それが良いか悪いかは保険者さんにちょっと尋ねていただいて。
そこは保険者次第になりますかね。。。
稼動域とかが、本当にそれでわかるのかというところもありますし。
そうですね。画面か何か見ただけになりますからね。オンラインですと。
そこが良いか悪いかは、(厚労省からの)通知もないですし、その内容についてそれで保険請求します(できます)とも、わたくしどもは申し上げられないので、いわゆる保険者さん判断というところにはなってくると思います。
変な話、オンライン診察であることを(レセプト等に)書かなければわからないというところもありまして。。。印鑑も不要になりましたし。
今回、保険者が返戻(レセプトを見返すと返戻ではなく、不支給決定であることが判明)をしてきたのは、病院側が何かしらの形で、オンライン診察で同意書を発行をしたとの保険申請をしたから、わかったという経緯なのでしょうか。
ただ、我々(厚生局)としては、それ(=同意書発行にかかる診察)をオンラインでやられたということは、正直に書いていただくというところです(笑)。
それはもちろんそうですね(笑)。
オンラインで稼動域等がわかるのか、実際本当に診察できるのかというところは、(保険者)個々の判断になってきますね。
ですから、そこは請求先である保険者さんのほうにお尋ねしていただくというところになりますね。
組合保険(後に協会けんぽ大阪支部と判明)のほうから返ってきたんですね。
返戻(後に不支給決定と判明)理由はまだきちんと見てないですけど、オンラインでの同意書発行は認めません的な感じで。きっちり、面と向かっての診察を求めます。という感じで返ってきたので。。。
そうですか。。。同意書を発行するにあたっては、(オンラインではない)診察で、というところですね。
そうですね。
オンラインでわかるかどうかというところになると、やはりちょっと保険者さんとの話しになりますね。
そこは(保険者)個々というところで、この患者さんにはこういうことで確認できますということであれば、それを申し上げていただいて向こう(保険者)でどう判断されるか、というところになってきますね。
そうですね。内容をきっちり摘要欄、備考欄に書いてという形ですかね。その前に保険請求がおりるかおりないか確認という形ですかね。
そうですね。聞いていただいたほうが良いと思いますね。
そこのところは、保険者さんとの話になってきますので、(こちらからは)何とも申し上げられない部分ではあります。
かしこまりました。ありがとうございました。
まとめ
・ 近畿厚生局指導監査課に問い合わせたところ、「保険者個々の判断」による、とのこと。
・ 現状、オンライン診察での同意書発行は不支給決定としている保険者あり(全国健康保険協会等)。
(過去にさかのぼって、実際に対面しなおしての同意書発行は不可能なことから、”返戻”ではなく”不支給”となるため再請求ができないので注意。)
・ 今後、厚生労働省からの疑義解釈資料などによる通知で統一見解が出され、状況が変わる可能性あり。その際にすでに「不支給決定」となった申請書がどうなるのかも含めて発表を待ちたい。