第56回 社労士試験 選択式解いてみた(労安・労災・雇用)

社労士試験
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【問1】労働基準法・労働安全衛生法

解説

 4年連続で、問Aは条文ベース、問B,Cは最高裁判例から、問D,Eは安衛法の条文ベースからの出題となりました。また今年は少なくても1回は択一式の問題文として出題された経緯があり過去問学習の重要性を再認識できた形式でした。

各肢の解き方

 問Aは最低年齢の原則に関する問題で基本的事項。問B,Cは判例からですが問Bは択一式の問にもよくキーワードとして出てくる語なので、取りやすく、問Cも同様と言えるでしょう。正解の取りやすさから言えばBの方が得点源にしやすかったかも知れません。

 問Dは細かな論点で似たような過去問も1度しかないため、少し難しかったと思われます。問Eは、「派遣労働者にかかる労働者死傷病報告は、派遣先および派遣元の双方の事業者が行う必要がある」こととセットでおさえていると正解しやすかったかも知れません。

目標点数

Aは絶対。BかCで1点、DかEで1点で3点確保、出来れば4点。

今回の出題に関する過去問

【参考】平成29年(2017年) 労働基準法 問7 肢A
労働基準法第56条第1項は、「使用者は、児童が満15歳に達するまで、これを使用してはならない。」と定めている。
→ × 「満15歳に達するまで」ではなく、「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで」である。

【参考】平成19年(2007年) 労働基準法 問5 肢B
労働基準法第32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない仮眠時間が労働基準法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が実作業に従事していない仮眠時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきであるとするのが最高裁判所の判例である。
→ 

【参考】令和1年(2019年) 労働基準法 問5 肢B
賃金にあたる退職金債権放棄の効力について、労働者が賃金にあたる退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、当該意思表示は有効であるとするのが、最高裁判所の判例である。
→ 

【参考】平成30年(2018年) 労働安全衛生法 問9 肢B
事業者は、現に使用しているフォークリフトについては、1年を超えない期間ごとに1回、定期に、労働安全衛生規則で定める自主検査を行わなければならないとされているが、最大荷重が1トン未満のフォークリフトは除かれている。
→ × 後段のような除外規定はない。

【参考】平成25年(2013年) 労働安全衛生法 問9 肢D
労働者が事業場内における負傷により休業の日数が2日の休業をしたときは、事業者は、遅滞なく、所定の様式による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
→ × 休業の日数が2日の場合には、「遅滞なく」ではなく、1月から3月までなら4/30まで、以下、4月から6月まで→7/31、7月から9月まで→10/31、10月から12月まで→1/31までに、所轄労働基準監督署長に提出する必要がある。

【問2】労働者災害補償保険法

解説

 問A,Bが数字を問われた問題で1セット、問C,Dが語句を問う問題で1セットで、問Eが最高裁判例からの出題となりました。前年同様、基本的な問題が多く、満点の受験生も多くいると思います。

各肢の解き方

 問A,Bは2022年にも選択式で出題された「併合繰り上げ」が論点で、2022年の時は長文で難解でしたが、今年は基本のキとも言うべき出題範囲でした。
 問C,Dについても保険給付に関する基本中のキとされる問題でここまでは絶対に落とせません。
 唯一、問Eが判例で過去問からの出題とも言えないため難しかったですが、文中に「利益」と言う言葉があるため、そこから正解肢を組み込むことは可能だったかも知れません。

目標点数

4点以上。

今回の出題に関する過去問

【参考】平成21年(2009年) 労災保険法 問6 肢C
障害等級表に該当する障害が2以上あって厚生労働省令の定める要件を満たす場合には、その障害等級は、厚生労働省令の定めるところに従い繰り上げた障害等級による。繰り上げた障害等級の具体例を挙げれば、次のとおりである。
① 第8級、第11級及び第13級の3障害がある場合 第7級
第4級、第5級、第9級及び第12級の4障害がある場合 第1級
第6級及び第8級の2障害がある場合 第4級
→ 

【参考】平成19年(2007年) 労災保険法 問3 肢A
年金たる保険給付の支給は、支給すべき事由が生じた月の翌月から開始され、支給を受ける権利が消滅した月で終了する。
→ 

【参考】平成30年(2018年) 労災保険法 問4 肢A
労災保険法に基づく遺族補償年金を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき遺族補償年金でまだその者に支給しなかったものがあるときは、当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族は、自己の名で、その未支給の遺族補償年金の支給を請求することができる。
→ 

【問3】雇用保険法

解説

 出生時育児休業給付金(問A,B,C)、個別延長給付(問D)、適用除外(問E)と3つの論点が出題されました。問B,Cは直近の法改正からの出題となりました。
 各肢ごとに四択から選ぶ形式でしたが、受験生全体の法改正対策の進捗度や多少トリッキーな部分からの出題箇所を考えると平均点数はやや下がる可能性があります。

各肢の解き方

 問Aは育児休業給付金の被保険者としての条件を問う法改正ではない部分の問い。問B,Cは厚生労働省のページを参照。問Dは「激甚災害」と「職業に就くことが特に困難」とのキーワードから120を選択出来るかがポイント(幸いにも選択肢の中で一番日数が多い)。問Eは適用除外となる勤務先を掛け持ちしても合算した条件にはならないことから少々難しいですが正解できるかも知れません。

目標点数

法改正対策が出来ていれば4点、出来ていなくても3点は確保したい。

救済の可能性について

 労働基準法は、最高裁判例と言えど、過去問演習で対策できる範囲。労災は基本中のキ。雇用保険が少しクセがある出題と思いましたが、3点以上は合格者なら取ってほしい内容だったと思います。
 以上のことから、今年の3科目(労基、安衛・労災・雇用)については救済がかかる可能性は低いと考えられます。

この合格予想基準は、管理人独自の見解です。合格ラインや救済科目についてのお問い合わせ等は承っておりませんので、ご了承ください。

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