【問4】労務管理その他労働に関する一般常識
解説
障碍者雇用促進法関連と最高裁判例からの出題でした。今年の労一は昨年、一昨年と違い問題の質、難易度とも丁度よい設定だったと思います。
各肢の解き方
「A」「B」に関しては数字の問題でした。令和3年3月1日からの「障害者雇用率制度」、法定雇用率(民間)を問う形でしたが、これはおさえていた数字だと思います。問が”対象となる事業主の範囲が、従業員〇〇人以上”となったとしても関連していておさえていたのではないでしょうか(答:43.5)。迷わずAは②の2.3を選びたいところです。
「B」についても障害者雇用納付金についての問題ですが、ここも金額部分が仮に出題されていたとしても正解したいところでした。今回は100と言うキーワードだけでもおさえておけば、”以上”、”超える”とかで迷わせる選択肢ではなかったため親切な問われ方でした。⑥の100人超を選べたはずです。
一転、「C」は難しい単語でした。もし次の最高裁判例の問題が解けなかった場合は、この⑰ジョブコーチを選べたかが合格への分岐点になったかも知れません(私の時は”えるぼし”が分岐点問題でした)。おそらく”ジョブ・カード制度”については語句意味ともおさえていた方が多いと思いますが、ジョブコーチまでは知らなくても問題なく、出題の意図としては、「A」「B」は確実に取ってもらい、最高裁判例で1つ取って3点確保してもらうイメージで作成したのではないでしょうか。
その最高裁判例「D」「E」ですが、日立メディコ事件(昭和61年12月4日)からで、「臨時員に対する雇止めにつき解雇に関する法理を類推すべき場合においてその雇止めが有効とされた」事例について問われました。
「D」は穴埋め部分の前に、”季節的労務…臨時的作業…ではなく、”とあるので、断絶的な言葉の反対になる”継続”が使われている、⑪継続が期待されていたが文章としてしっくりくると思います。
「E」は問題文から正解肢を出すことは難しいかもしれません。学習が進んでいる人ほど、第一印象で⑩の”期間の定めのない労働契約が締結された”を選んでしまい、正解肢である⑮の従前の労働契約が更新されたには変えにくく結局⑩のまま提出した方も多いのではないでしょうか。5回にわたり契約が更新されている→都度新たな契約を締結している→今回締結がなかった場合どうなるか。と言うことですが、労働者側と使用者側どうしで別段アクションがあれば無期契約転換の話も出てくるけど、これまで有期契約が続いていたから自然と今までの流れが続くよね。と解釈できるかどうか…この設問「E」に関しては出来なくても致し方ないでしょう。
目標点数
【問5】社会保険に関する一般常識
解説
「令和元年度国民医療費の概況」から国民医療費の構成割合、「確定拠出年金法」「児童手当法」「介護保険法」と前年同様まんべんなく出題されました。
各肢の解き方
「A」は国民医療費(令和元年度:44兆3,895億円)のうち、65歳以上の方が全体の何%を占めているかと言う問題でした。私としては、柔道整復・あはき業界に携わっているので、このあたりのテーマはよく業界向けの会報等を作成しているのでなじみがあったのですが、正直”意外と多い”んです…⑧の46.0とか⑦の31.0を選んでいてもおかしくないと思います。解答速報を見て驚いた方もいるかも知れません。それくらい”多い”んです。だから出題されたのかも知れませんが…
厚生労働省のホームページ「令和元(2019)年度 国民医療費の概況」の資料(4ページ目)により、正解は⑨の61.0とわかります。
「B」もマイナーな論点です。これはおさえていなくても仕方なく、正直、⑬の子か、⑱の配偶者の2択で勝負して下手に時間を使わず次へ進むのが良い選択でしょう。
「C」は児童手当がもらえる期間(0歳から中学校卒業まで。正しくは、0歳1カ月から15歳に達する日以後の最初の3月31日まで)が分かっていれば解けます。ややこしく書かれていますが落ち着いて④を選びたいところです。
「D」「E」は「介護保険法」で言うところの「要介護状態」の定義についてでした。過去問択一式でも何度も「要介護状態」との文言は出ていたので、そもそもの意味を問う、と言う意味では良問だったと思いますし、おさえていた方は多かったのではないでしょうか。
目標点数
救済の可能性について
労一
「A」「B」、特に「A」については直近の改正だったため、解けた受験生は多いように思います。また、「D」についても国語力で解けるような内容でしたので、1点以下に分布が偏るケースは少ないと感じています。2点は取れるが3点は取りにくい構成にしていると感じ、今年の労一救済は”なし”と考えています。
社一
難しいのは「B」ですが、それでも2択には容易に絞れたと思います。「A」は感覚としては難しいですが、新聞等でチェックしていて推測できた方もいた筈です。「C」は受験生にとっては学習の範囲内ですし、「D」「E」も難解な単語の定義を問われているわけではなく、”身体上又は精神上”と言う用語は雇用保険法でも出題される文言でなじみのあるものでした。個人的に医療や介護分野に従事しているためか、まったくもって歯が立たない問題ではない、と言う肌感でしたので、社一についても今のところ、救済は”なし”と考えています。