【問6】健康保険法
解説
「保険料率」からと、試験委員も受験生もみんな大好き(?!)な「標準報酬月額等級区分の改定」からの出題でした。
「保険料率」は複雑な仕組みですが、その分出題頻度も高く、過去同じテーマから選択式で抜かれまくっています。そのため、ひととおり学習を進めていれば正解しやすかったと言えます。
「標準報酬月額等級区分の改定」については、平成21年の選択式で5肢ともこの部分が抜かれた他、択一式でも過去何度も出ているところで、各予備校の模擬試験などでも良く出される、まさに”出題人気分野”です。今回抜かれた2肢(2点分)は絶対に間違えられない箇所とも言えます。
各肢の解き方
「A」については健康保険の保険料率について、まず一般保険料率と介護保険料率があり、一般保険料率は特定保険料率と基本保険料率に区分される。と言う概要が分かっていれば、「⑯・特定保険料率」を自信を持って選べたでしょう。
「B」「C」は特定保険料率について、さらに踏み込んだ部分が問われています。
「B」については当該論点の部分のテキストを読み込んでいれば、【国庫補助】【控除(除く)】をキーワードに⑪を選べたかも知れませんがここは難しい問いだったと思います。(【国庫負担金】がダミーで置かれているとさらに難しくなりますが。。。)
「C」については、平成29年の択一式・問4-Aで介護保険料率を論点にした出題がされ、その横断整理が出来ていれば今回の特定保険料率にも同様の文言を当てはめられれば「⑩・総報酬額の総額」を入れられたと思います。
「D」「E」は何のためらいもなく瞬時に正解肢を出してほしいところです。
目標点数
【問7】厚生年金保険法
解説
「用語の定義(賞与)」「交付金」「適用事業所の一括」からでした。
各肢の解き方
「A」は基本問題、⑳の臨時に、と間違わないように注意し、「②・3か月を超える期間ごとに」を迷わず選びたいところです。
「B」「C」は厚生年金の収支の構造を学習していないと難しかったと思います。「B」は「⑥・厚生年金保険給付費等」で「C」は「⑪・交付金として交付」が入ります。
余談ですが、私が受験生時代に使っていた厚生年金のテキストを開いてみると、「厚生年金保険給付費等」にマーカーが引いてありました。おそらくどこかの予備校はこの部分の出題が予想されることを過去にしていたのだと思います。
「D」「E」は基本的内容です。一括の比較として、船舶以外→厚生労働大臣の承認を受けて一括され、船舶は法律上当然に一括されます。この内容が整理できていれば「D」は「⑭・船舶」、「E」は「⑨・厚生労働大臣の承認を受けて」を選ぶことが出来ます。
目標点数
【問8】国民年金保険法
解説
「調整期間」と「公課の禁止」からの出題でした。「調整期間」側は、平成18年の選択で当該部分がまるまる出されており、2肢が同様部分、1肢が新たに抜かれた内容となっていました。対策していれば同様部分の2つは解答できるはずです。
「公課の禁止」は、択一式で何度か論点にされています。
・ 平成17年 問6-A
・ 平成25年 問10-C
・ 平成27年 問4-E
過去問を回す際、単に〇×(正解・不正解)ではなく、選択式(語句)を意識しながら解くことで質の良い学習をすることが出来ます。
各肢の解き方
「A」については、上述した通り、平成18年と同様の箇所が抜かれました。抜かれる幅は大きくなりましたが、「給付の支給」がキーワードとして分かれば「⑪・給付の支給に支障が生じない」を選ぶことが可能です。
「B」も平成18年と同様の箇所が抜かれており、ここは確実に正解したいところ。仮に平成18年の過去問なんて見てない!と言う方でも、当該論点は「マクロ経済スライド」を含んでおり、その中に「スライド調整率」と言った言葉も出てきますから、「⑯・調整」と入れたいところです。⑱の変更と迷われた方もいるかも知れませんが、変更(チェンジ)より調整(アジャスト)のほうがしっくり来ないでしょうか(笑)
「C」は過去抜かれていない部分だったので、少々難しかったかも知れません。選択式対策として、
【2004年(平成16年)の財政検証により2005年(平成17年)度が調整期間の開始年度とされた。】
と、このあたりの数字・語句を抑えていれば「③・開始年度」と出来た肢だったと思います。
「D」「E」も上述の通り、過去問対策をしていれば解答できたと思います。「D」は、紛らわしい語句をダミーに置いてあるのでうっかりミスした方もいるかも知れません。それでも「E」は確実に正解してほしいところです。
「D」→「⑧・給付として支給を受けた金銭を標準」
「E」→「⑳・老齢基礎年金及び付加年金」
目標点数
救済の可能性について
もし選択式を順番に解いていかれた方は、労一・社一を抜けた後は覚えている内容も出てきてほっとしたのではないでしょうか。文章量も少なめで、かつテキストで強調された内容や過去出題されたものに捻りを少し入れた程度で対応はしやすかったと思います。
そのため初学者の方でも健保・厚年・国年についてはどれも2点以上は取ってきそうな問題構成でしたので、この3科目については救済の可能性は低いと判断します。